『万国津梁』
“世界の架け橋”を意味するこの言葉が琉球國祭り太鼓を世界に広げていく要因となり、人と人との出会いが新たなる夢を形作らせることとなった。
五月通りの大パレードを成功させようと、與那嶺昭をはじめとする日本各地の支部から駆け付けたメンバー、そしてブラジル支部のメンバーなど総勢100名余りがアルゼンチンに集結していた。メンバー全員が五月通りでのパレードという大舞台に胸を高鳴らせていた。しかし、現地のアルゼンチン沖縄移民90周年実行委員会は、五月通りでのパレードの開催について消極的になっていた。パレードの開催日が土曜日のため、集客が見込めないなという理由によるものだった。
真夜中、沖縄にいた私にアルゼンチンでパレードの準備をしている與那嶺昭から連絡が入った。「このままでは五月通りでのパレードはできないかもしれない」という彼に対しこう伝えた。「アルゼンチン沖縄移民90周年大パレードで一番大切なことは『 感謝する心』、そして『心意気』。たとえ観客が一人でも、アルゼンチンの歴史を語る五月通りでパレードをすることこそが 感謝の心、沖縄の心意気だ。」それを聞いた與那嶺昭は実行委員会の方に対し「たとえ観客が一人でも五月通りでエイサー太鼓を打ち響かせます。もし五月通りで出来ないというなら、明日メンバーを連れて帰ります」と伝えた。
パレード当日、五月通りは実行委員会の心配をよそに万余の観衆が押し寄せ、パレードは大成功であった。
2019年02月04日
第27話「架け橋」(南米エイサー行脚B)
posted by ryukyukoku at 13:45| 第1話〜