2019年02月12日

第28話「目から鱗」

 1992年、琉球國祭り太鼓は「サントリー地域文化賞 」を受賞した。サントリー地域文化賞とは地域の文化向上と活性化に貢献した個人、団体に贈られる賞で、琉球國祭り太鼓にとっては初めての賞だった。 
 選考の際、私達は沖縄に来られたサントリー文化財団の方と会うことになった。私は琉球國祭り太鼓を共に立ち上げたメンバー達の熱い思い、そして世界を舞台にする「万国津梁」の心意気を余すことなく伝えると、サントリー文化財団の方は私に「目取真さんと同じ夢を語る情熱を持ち合わせたメンバーは何名いますか」と尋ねた。とっさに私の瞼の中に数名のメンバーの顔が浮かび、それを伝えようとした時、その場にいた琉球國祭り太鼓の相談役がこう答えた。
「琉球國祭り太鼓は全員同じ気持ちです」
私の眼から鱗が落ちた。その言葉にエイサーシンカ(エイサーの仲間たち)の魂を強く感じたのである。

『琉球國祭り太鼓 サントリー地域文化賞受賞』の記事が新聞に大きく掲載されたのは、それから間もなくの事であった。
posted by ryukyukoku at 14:31| 第1話〜