2019年01月23日

第24話「人事を尽くして天命を待つ」

 昭和58年、あるテレビ番組で祭り太鼓がアトラクションとして出演し、全国に放映された。
放送前日の夜、番組の担当ディレクターが沖縄市泡瀬にある祭り太鼓の練習場に立ち寄った。放送には50名のメンバーで出演してほしいと依頼されていたにもかかわらず、前日の夜の時点で出演できるメンバーはまだ20名しかいなかった。私は担当ディレクターにその現状を伝え、謝罪をすると、彼は誰に言うともなく「人事を尽くして天命を待つ」と口走った。私は彼が帰った後もずっとその言葉が気にかかっていた。
「そうだ。本番までには まだ時間が残されている!」
翌日の出演の事を心配して練習場に残っていたメンバーたちに、みんなをもう一度説得してくれと言い、地域ごとに分けて説得に行かせた。すでに時間は午前2時を回っていた。

 放送当日、そこには40名以上のメンバーが集まっていた。
3分という短い出演時間ではあったが、その裏にはTVでは放送されなかった、熱き青春のドラマが隠されていた。
posted by ryukyukoku at 21:37| 第1話〜