2019年01月20日

第23話「世界への一歩」(南米エイサー行脚@)

 琉球國祭り太鼓を立ち上げて10年が過ぎた頃、「一歩踏み出す男」と出会った。
彼の名は“與那嶺昭”。全島エイサーでの琉球國祭り太鼓の演舞、百を超える大太鼓の音は、彼の胸を大きく高鳴らしたという。
 ある日、その彼と海辺のレストランで会うことになった。午後7時からお店の閉店時間までの数時間、私達は食事もとらずに話し込んだ。私はいつもの通り拳を握りしめて祭り太鼓の夢を彼に語ると、彼は私に「アルゼンチンに祭り太鼓の支部を結成したい」と言う。私が「アルゼンチンはどこにあるのか?」と聞くと「今、目取真さんがいるところをスコップで掘り続けると地球の反対側に出ます。そこがアルゼンチンです」と答えた。先人の「己の立つところを深く掘れ。そこに宝あり」と言うことか、と私なりに勝手に解釈し「大丈夫。君ならできる」を必要以上に連発した。その言葉が彼の気持ちを後押ししたかどうかはわからないが、それから間もなく、彼はエイサー太鼓と衣装を携えてアルゼンチンに行き 沖縄県人会のパーティで滝落としを力強く、一人で演舞した。いつも前向きな彼だったが、なぜか滝落としの最後の決めポーズは後ろ向きで終わっていたという。こうして「一歩踏み出す男」の夢と情熱の南米エイサー行脚は始まっていった。
posted by ryukyukoku at 16:45| 第1話〜